For retailers|2023/06/16
マーケティング戦略は時代の流れとともに変化し、新しい手法や用語が次々と誕生しています。
ここ数年はコロナ禍で消費者の購買行動や心理が急激に変化しました。
今回は、小売業界で注目を集めている「OMO」という言葉について、その特徴やメリットをご説明いたします。
また、国内外でOMO戦略を取り入れた企業の成功事例についてもいくつかご紹介いたします。
OMOとはマーケティング戦略の1つで「Online Merges with Offline」を省略した言葉です。
Sinovation Venturesの会長兼CEOであるカイフ・リーが広めた概念で、日本語に直訳するとオンラインとオフラインの融合という意味です。
物を購入する際に実店舗とECサイトでの購入はこれまで、明確に分けられていました。
一方で近年、スマートフォンやタブレットのモバイル端末の普及や、店舗へのデジタル技術の導入が進んだことによって、実店舗とECサイトの境界線はなくなりつつあります。
そうして生まれた、両者を融合させることで店舗の成長を目指そうという考え方がOMO戦略です。
例えば、キャッシュレス決済やモバイルオーダーはOMOを取り入れたサービスだといえるでしょう。
OMOの関連用語にO2O、オムニチャネルという言葉があります。
OMO戦略を理解するうえでも重要な言葉になるため、特徴や違いをご説明いたします。
3つの概念を以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
オンライン・ オフラインの管理 |
顧客データ | 情報の扱い |
---|---|---|
OMO | 統合 | 統合 |
オムニチャネル | 統合 | 別 |
O2O | 別 | 別 |
O2Oとは「Online to Offline」の略称です。オンラインで情報を発信して、実店舗で顧客を集めます。
例えばWebサイトにて、実店舗でのみ使えるクーポンを配布し、顧客を集めているケースは、O2O戦略だといえるでしょう。
O2O戦略では、オンラインとオフラインを区別して情報を管理しています。そのため、Webサイト上の情報と、実店舗で得られる情報には差異があります。
一方でOMO戦略は、オンラインとオフラインを融合させる施策のため、顧客がどの販売経路を利用しても、顧客側は同じ情報を入手できることが特徴です。
また、オムニチャネルはあらゆるチャネル(販売経路・集客経路)から、総合的に顧客にアプローチすることです。
顧客がチャネルを選べるという点で利便性が高く、どの購入手段を利用しても同じ購買体験ができることが特徴です。
OMOと同じように、オンラインとオフラインの顧客データは統合されていますが、チャネルごとに情報を独立させて考えている点でOMO戦略とは異なります。
OMO戦略には顧客の利便性と満足度を高めるだけでなく、企業側にも複数のメリットがあります。
ここでは、OMO戦略が持つ企業側から見たメリットを大きく3つご紹介いたします。
OMOという新しい概念をマーケティングに取り入れ、成功している企業はすでに多数あります。環境と企業の取り組みが揃えば、実店舗のみで展開する小売店や飲食店でもOMOは実現可能です。
具体的なサービスのイメージができるよう、まずは国内企業の事例をご紹介いたします。
オフラインのイベントで、オンラインの最新技術を取り入れたOMOの事例です。
横浜市では春のガーデニングイベントで、株式会社セガ エックスディーが提供するARコンテンツを活用しています。
専用エリアでスマートフォンのWebカメラをかざすと横浜海上に「AR巨大ガーデンベア」が出現する仕掛けで、観光の支援を試みています。
アプリのダウンロードを必要とせず、Webサイトから気軽に参加できるような顧客体験をしている点も特長です。
小売店での販売戦略に、オンラインの要素を取り入れた事例です。
リフォームサービス「ニトリのリフォーム」で「LiveCall(ライブコール)」というビデオ通話サービスを取り入れています。
この手法を利用することで、さまざまな場所でリフォームの知識に堪能なスタッフのアドバイスを受けることができるため、顧客体験の向上に役立ちます。
また、遠方の顧客でも、ショールームを訪れる前にリモートで自宅を映すことで、担当者に具体的なリフォームの相談ができます。
アパレルショップの店内で、その場にない商品を注文できる事例です。
西武渋谷店は2021年9月に「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)」をオープンしました。来店客が店内専用のWebカタログで商品情報を確認し、お気に入りへの追加や商品決済ができるというサービスが特徴です。
Webカタログからの注文という仕組みを取っているため、その場に商品がない状態でも、ECサイト経由で商品の購入ができることが、この手法のメリットです。
また、顧客の決済は全てキャッシュレスで行われるためレジ前の混雑が起こりません。
さらに、購入商品についても持ち帰りや配送など、お届け方法もを選択できます。
マクドナルドでは、モバイルオーダーを導入し、注文から決済までをスマートフォンで完結できるようになりました。
ファーストフード店でありながら、混雑時には長蛇の列ができてしまうことが、店舗側の悩みであり、購入の際に顧客が懸念する点でした。その悩みを解決策としてモバイルオーダーを導入したことで、顧客は快適に利用できるようになったのです。
日本と比較して、海外のOMOを利用したサービスは普及率が高く、多くの成功事例があります。
海外のOMO事例はバリエーションが豊富で、日本から利用できるものもあります。
この章では、アメリカや中国をはじめとするOMO先進国の例をご紹介いたします。
大手通販会社「Amazon」が手掛ける無人スーパーマーケットです。
顧客は専用アプリを事前にダウンロードし、アカウントの決済情報を紐づけておくことで入店できます。
店舗内にはカートやカゴはなく、顧客が購入したい商品を自身のバッグに入れるだけで店内のカメラセンサーが認識し、退店後にAmazonアカウントを通じて決済してくれるという仕組みです。
この仕組みを利用すれば、顧客の買い物体験を向上させられるだけでなく、店舗に配置する人材を削減できるため、人件費の削減にも役立ちます。
日本でも、駅構内のショーケース型店舗や無人コンビニ店舗など、この仕組みが取り入れられた複数の店舗があります。
中国の大手IT企業「アリババ」のスーパーマーケットです。
購入したい商品のQRコードを読み取ることで、オンライン決済ができるというサービスを提供しています。
決済サービスはアリババ提供の「アリペイ」を利用してもらうことで、購入情報をもとに在庫管理にも活用されています。
このように、決済と連携させたOMOの手法では、顧客の購入情報や購入頻度を取得できるため、人気の高い商品の仕入れや、購入頻度の高い顧客へのアプローチに役立てられるでしょう。
OMO戦略をうまく活用すれば、オフラインとオンラインの境界を無くし、顧客満足度の向上を図ることで、購買意欲を高められます。
前述の事例のようにOMOを利用してマーケティング戦略を構築することで、アイディア次第で、便利なサービスをさまざまに作り出せます。
近年では多くの企業が取り入れている、モバイルオーダーも有効手段の1つです。
モバイルオーダーでは、顧客はスマートフォン上で落ち着いて商品を選択でき、店舗側は購入後のデータを収集して購買傾向を容易に把握できます。
ただしOMOマーケティングをモバイルオーダーで実施するには、アプリケーションやECサイトに加えて、店舗側での導入も必要なため、多くの費用が掛かります。
L.B.B.Cloudのサービスでは、国内での利用率が高い「LINE」アプリと連携できるため、追加のアプリケーションの開発が必要ありません。
また、顧客での会員登録なども必要ないため、顧客側の利用ハードルも大幅に下げられます。顧客データの収集や管理などで、飲食店に加えて、アパレルやスーパーマーケットなどの小売業の方にも有効です。
是非、この機会にL.B.B.Cloudのサービスを利用して、OMOマーケティングを実現させましょう。
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